研究課題/領域番号 |
62480351
|
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
野澤 志朗 慶應義塾大学, 医学部・産婦人科, 講師 (90051557)
|
研究分担者 |
宇田川 康博 慶應義塾大学医学部, 産婦人科, 助手(医長) (80118918)
向井 万起男 慶應義塾大学, 医学部・病理, 講師 (50101895)
木口 一成 慶應義塾大学, 医学部・産婦人科, 講師 (60101911)
|
キーワード | 糖脂質 / マウス子宮内膜 / ステロイドホルモン / GA1,GM3,Sulfatide / Forssman抗原 / モノクローナル抗体MSN-1,MSN-2,フローサイトメトリー / 子宮腔内抗原測定 |
研究概要 |
糖脂質は細胞表面に存在し、細胞相互の認識やレセプターとしての機能を有している。そこで糖脂質と生殖や癌化とのかかわり合いを調べるために、子宮内膜における糖脂質を分析した。 1.性成熟及び性同期に伴うマウス子宮糖脂質の変化 性成熟に伴い中性糖脂質ではGA1が、酸性ではSursstideが増量し、又性周期別では発情期に中性糖脂質であるCTH,GA1,Forssman抗原が、間期に酸性糖脂質であるGM3,Sulfatideが増量した。即ち、卵胞ホルモンの変化に伴い糖脂質が変化し、ステロイドホルモンが糖鎖合成に関与する糖転移酵素活性に影響を与える可能性が示唆された。 2.抗糖脂質モノクローナル抗体の臨床応用を志向した基礎的研究 (1)フローサイトメトリー:昨年度我々が作成した抗体癌由来培養細胞株SNG-2モノクローナル抗体は、血液型物質ルイスbをそのエピトープとしているが、本抗体は正常内膜では殆ど反応せず、体癌では85%の症例と反応した。そこでフローサイトメトリー(FCM)に応用し、正常細胞と体癌細胞の表面抗原の反応性の差から両細胞の鑑別を試みた。その結果、正常細胞では8例中7例が30%以下の陽性率であったのに対し、体癌細胞では9例全例が30%以上であり、方法論を含め今後研究を続けてゆく価値のあることが示唆された。また本年度新たに作成したモノクローナル抗体MSN-2を用いた2カラーFCMも現在検討中である。 (2)子宮腔内抗原測定:上記モノクローナル抗体が体癌で高頻度に発現されることに注目し、MSN-1とMSN-2のdouble determinants EIA系を確立し子宮腔内の抗原両を測定したところ、体癌症例の約3割の症例で高値を示すことが判明した。また我々が卵巣癌診断のために確立した血清測定系CA54/61でも同様な結果が得られたので、今後この方法を更に検討して行きたい。
|