研究分担者 |
堀口 利之 埼玉医科大学, 総合医療センター, 助手 (30157078)
牛島 達次郎 東京大学, 医学部, 講師 (70010197)
今泉 敏 東京大学, 医学部, 助教授 (80122018)
桐谷 滋 東京大学, 医学部, 教授 (90010032)
廣瀬 肇 東京大学, 医学部, 教授 (80010031)
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研究概要 |
発話機構の生理学的観測には,発話される音声と共に,種々のモードの異なるデータ(例えば,筋電図,dynamic palatography,空気力学的データ,画像情報など)が同時に記録されることが必要である. このような多元的な記記を能率よく行うために,本年度は,まず質的に異なる多次元の生体信号を同時に記録処理が行えるシステムを完成させた. 音声信号の如く,高い周波数成分を持つものから,顎運動のように時定数の比較的大きなものまでを想定し,最大10KHzの標本化周波数を,チャンネル毎に任意に分配する方法によって実現した. 研究代表者らは,構音動態を観測するため超音波断層法を用いてきた. この方法は舌の観察には適しているが,計測の基準となる口蓋など複数の構音器官の動きを同時に観測することは原理的に不可能である又,超音波画像は探息子の位置・角度に依存しているため,その位置情報を画像情報と共に記録する必要がある. 本研究においては,光位置検出装置(PSD)を用いて探息子の位置情報を出力し,多次元生体信号処理装置を用いて超音波画像を修正標示する可能性が示唆された. 時間的に同期させるためにはVTRのフレームバルスをトリガーとして標本化パルスを発生させることによった. 超音波による舌の影像化と共に口蓋形態を非侵襲的に計測するシステムをつくり,予備的に少数の正常例についてのデータ収集を行った. 今後,不特定多数の被験者について計測を行い,構音動態の正規化の基礎データとする予定である. Velotraceによる軟口蓋運動と,超音波断層法による舌動態の観測を同時に行い,鼻音/非鼻音構音時の時間関係をあきらかにした. 発話速度の違いによる構音動作の変化をみるため,本年度は,音響面から,フォルマント軌跡の違いについて考察した. 舌の動態との関連が示唆され,今後の課題であると考えられた. 本年度は,主として計測システムの完備を行った.
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