研究課題/領域番号 |
62480354
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新美 成二 東京大学, 医学部, 教授 (00010273)
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研究分担者 |
堀口 利之 東京大学, 医学部, 助手 (30157078)
牛島 達次郎 東京逓信病院, 耳鼻咽喉科, 部長 (70010197)
今泉 敏 東京大学, 医学部, 助教授 (80122018)
桐谷 滋 東京大学, 医学部, 教授 (90010032)
廣瀬 肇 東京大学, 医学部, 教授 (80010031)
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キーワード | 構音 / 超音波断層法 / 生体信号処理 / 北京語 / 筋電図 / 胸骨舌骨筋 |
研究概要 |
昨年度において稼働を開始した多次元生体信号処理装置は、信号の質に応じて入力のための標本化周波数を選ぶというものである。本年度は使用に際して必要となるソフトウェアーの整備を行った。音響現象と共に観測の対象となる舌、軟口蓋、顎についての計測装置の整備考案を行った。舌については従来より当施設において用いている超音波断層法によった。軟口蓋については非浸襲的に動態を観測する装置としてVelotraceに改良を加え、更に硬口蓋の形態を直接座標値化して計算機に入力する計測法を考案した。頚の運動及び他の構音器官の動きとの対応付けには光位置検出装置(PSD)を用いた。正常構音者における観察は東京方言話者、大阪方言話者、北京語話者について主にアクセントの生成について観測を行い、従来明確ではなかった胸骨舌骨筋の関与を明らかにした。この研究の延長として歌唱時における胸骨舌骨筋および声門下システムの関与について知見が得られた。更に正常構音者が発話速度を変化させたときの構音動作の変化と実現される音響現象との関係について検討が加えられた。病的な症例の検討として、複数の構音器官の運動性の異常を持つ症例に対し舌、軟口蓋の運動を同時に記録し病態の解析を行った。この知見をもとに限られた症例に対してではあるがbiofeedbackの手段としてVTAを介して治療に利用しある程度の効果があることを確認した。失語症に伴う発語失行についても観測が行われ、本症状の病態が音響と構造動作の療法の面から検討された。 以上の観測結果を臨床的にどの様に利用するかの多くの部分は今後の検討にかかっているが、少なくとも本研究からは非浸襲的な手段を用い生体信号を抽出しそれを解釈し易い形に変換し患者に提示することによって治療の効果が上がることが確認され、biofeedbackの有効性が示唆された。
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