耳鳴という症状は他覚的に捉えにくくまた心理的な要因に強く左右される。我々は、心理的な要因に着目し、事象関連電位のひとつである随伴陰性変動(CNV)を用いて、患者の心理的側面を他覚的に評価しようとした。 そして以下の耳鳴患者のCNVにおける特徴を明らかにした。 総括。 1.主として無難聴性耳鳴患者39名を対象に、随伴陰性変動(CNV)を測定した。 2.耳鳴群でCNVの初期、中期成分で振幅の有意な増大を認めた。 3.耳鳴群で有意な反応時間の延長を認めた。 4.耳鳴群で、P300の有意な振幅の減少がみられたが、潜時には延長はみられなかった。 5.心理テストとの関連では、ラフスコアでは境界領域の患者で、また状態不安の強い患者でCNV振幅の増大がみられた。 6.CNVを測定することにより、耳鳴患者の心因の関与の程度を他覚的に評価できる可能性を認めた。
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