研究概要 |
アレルギー性疾患(鼻アレルギー)の発症機序においてIgEが重要な役割をはたしていることは衆知の事実である. 鼻アレルギー特有の症状(くしゃみ,鼻汁,鼻閉)が脱顆粒によって起こってくることも明らかになりつつあり, 塩基性細胞,好酸球中に存在する化学物質が注目をあびている. 我々の研究目的である,IgG,IgG_4はアレルギー反応の立場ではその役割は明確ではなく,発症面に関与している部分と遮断抗体として抑制的に働く面と二面性が指摘されている. ます, 我々は鼻汁中に含くまれる好酸球に注目し,好酸球の脱顕粒現象と,その顆粒の性状がアレルギーの症状といかにかかわっているかを検討した. 好酸球に合有されるperoxidaseを免疫組織学的に形態面からとらえることを試みた. 臨床的に鼻汁中の好酸球の有無については日常的に行われる診断法の1つであるが,平行して免疫組織学的に抗peroxidase抗体を使用し,顆粒の形態変化がアレルギーの病態変化といかなる関係を有するかを検討した. その結果は顆粒に三つの大きな形態上の変化がみられた. つまり,顆粒状,点状,膜上,混合型に分けられ,非治療群では分布量は少なく,膜状であり,治療群では分布量は多く,顆粒状を呈していた. このことは治療により脱顆粒の抑えられていることを示しているものと思われる. 治療群, 特に減感作治療においては顆粒状を呈するものが多く,血清中の抗原特異IsG_4抗体も高価を示めすものが多く, IsG_4抗体か脱顆粒になんらかの作用を示めすものと思われる. 現在, 組織学的な面からも検討をいそいでいる. さらに鼻汁中のperoxidaseの量も顆粒の変化についても検討中であり,間もなく成績が出る予定である.
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