研究分担者 |
藤井 哲郎 産業医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 助手 (30189998)
土生 秀明 産業医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 助手 (80189597)
田久 浩志 産業医科大学, 医学部, 助手 (00188129)
吉田 泰行 九州労災病院, 耳鼻咽喉科, 部長
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研究概要 |
人が強大な音響に暴露される場合、一過性に聴力の低下を来たす現象が見られる。これをNITTSと呼び、この様な音響負荷が長時間続くことにより次第に回復不能な永久的聴力低下(NIPTS)となる。 NITTSの結果からNIPTSが予測することが出来れば騒音性難聴の予防管理に大きな助けになる。 今回は主として、強大音に対する生体の反応として、耳小骨筋反射が内耳に対する保護作用並びに強大音の到来を予期することにより生ずる中枢よりの抑制作用につき検討を行なった。 音響刺激により生じるTTSについては従来より個人差が多くみられることが知られているがこれが各個人の生体防御機構の差によるものと考え、まず音響刺激時のS,R(アグミ骨筋反射)について観察し、刺激音の前に予告音を与えた場合との比較を行った。予告音に対し生体が明らかに反応をみせるか否かはCNV(期待波)を記録し、その有無とS,Rとを比較した。S,Rは潜在時間及び振幅、その持続について観察した。 その結果、予告音を与えた場合、CNVが明らかに現われる例についてはS,Rの潜時は短縮し振幅は増大する傾向がみられた。 このことは、S,Rの働きに対して中枢より何らかの影響を与え得る可能性のあることを示唆する結果であり、更に意識的に耳小骨筋を収縮する可能性のあることも報告されているので今後は強大音響に対する難聴の発生に対して本人の意識如何によりこれを予防する可能性のあることが解った。 次年度は更にこの中枢性要因について検討する予定である。
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