研究課題/領域番号 |
62480361
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
土生 秀明 産業医科大学, 医学部(耳鼻咽喉科), 助手 (80189597)
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研究分担者 |
岡本 健 国立東京第二病院, 院長 (60122842)
藤井 哲郎 産業医科大学, 医学部(耳鼻咽喉科), 助手 (30189998)
田久 浩志 東海大学, 医学部(医学情報部), 講師 (00188129)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | 音響外傷 / 音響受傷性 / TTS(一時的閾値変動) / AR(音響的耳小骨筋反射、あぶみ骨筋反射) / 予告 / 注意の集中 / CNV(付随陰性変動) / 無響室 |
研究概要 |
近代産業化社会においては強大音響により聴器が損傷される機会は少なくない。この方面では従来、主に音源の分析と聴力との関係に重点をおいて研究がなされてきた。一方我々は個体の受傷性の差に注目し、個人差が顕著に出現する条件および個人差が事前に見出せる手法が存在するなら、衝撃音による聴力障害回避に役立つと考えた。 まず我々の音響性急性感音難聴症例を検討した。次いでスタ-トピストルの音響学的特性を明らかにし、曝露実験をおこなった。音源との距離、能動的曝露と受動的曝露の差、頸部捻転や曝露間隔の影響を検討した。これからは安全な曝露条件を設定するうえで重要である。モルモットを長期間無響環境下で飼育し、衝撃音に対する反応を通常環境下および騒音負荷のものと比較した結果、閾値変動の小さいものが見受けられた。このことは日常の音響曝露の状況と受傷性の差との関係を考えるうえでの一つの資料となる。 次に騒音を負荷された場合に、注意のしかたの違いによって聴覚障害の生じかたに差があるかどうかを検討した。その結果、騒音中の音声を聞き取る時に聴覚障害を生じやすい傾向のある者の存在がわかった。注意の集中をCNVを用いて他覚的に評価しつつ強大音響曝露時のARの変化を観察し、一部に予告を認識してARの振幅が増加する傾向があることを見出した。さらに規則的に呈示されたARの検査音に対してARの振幅が次第に増加する者がおり、この者は予告のある強大音でのARの振幅が有意に増加する傾向があることがわかった。 これまでの我々の研究成果は、衝撃音に対する防御機構に何らかのかたちで中枢が関与していることを示しており、衝撃音による難聴の発生防止および個人の音響受傷性を検出するうえで重要な資料を提供するものである。
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