研究課題/領域番号 |
62480372
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 正 東北大学, 歯学部, 教授 (50005021)
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研究分担者 |
阿部 一彦 東北大学, 歯学部, 助教授 (40151089)
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キーワード | ピルビン酸ギ酸リアーゼ / 歯垢微生物の糖代謝 / Streptococcus mutans / Sterptococcus sanguis / 乳酸脱水素酵素 / 再活性化酵素 / ウ蝕 / 高度嫌気条件 |
研究概要 |
口腔環境の大きな変動、ことに歯垢中の糖濃度による歯垢微生物の糖代謝(酸産生)の動態を明らかにするために、Streptococcus mutansの嫌気的酵素ピルビン酸ギ酸リアーゼ(Pyruvate formate-lyase)の再活性化酵素の精製を試みた。まず、再活性化酵素を収率よく採取するために種々の培養条件下での再活性化酵素の活性を測定したところ、Stationary phaseの増殖時期にこの酵素活性が最大となることが判明した。Streptococcus sanguisでも同様な時期に活性が最大となることが観察された。そこで、Stat onary phaseのStrep.mutansを採取し、この菌より、再活性化酵素を部分的に精製した。この標品は完全に純化されてはいなかったが、かなり強い不活性型のピルビン酸ギ酸リアーゼを活性化する能力をもっていた。しかし、この酵素標品は活性型のピルビン酸ギ酸リアーゼを嫌気条件下で不活性型に変える活性ももっており、再活性化酵素とX因子(不活性化因子)が同一のものである可能性も考えられた。この酵素を完全に純化するまでは明確な結論はだしにくい。 糖濃度と同時にpHを変化させてStrep.mutansやStrep.sanguisを嫌気条件下で連続培養したところ、高度嫌気・糖濃度制限条件下でも、pHが低いと、もっぱら乳酸が産生されることが判明した。このことは実際の歯垢中での産生されるさんの種類の変化とよく一致していた。 食事後にかなりの時間が経過し、菌体内に貯蔵した糖しかエネルギー源のない状態のレンサ球菌は実際のヒト歯垢深部と同様な高度の嫌気条件下ではほとんどギ酸、酢酸のみを産生し、乳酸はほとんど産生しないことが判明した。これは、実際のヒトの歯垢中でみられる現象ときわめてよく一致しており、この実験で観察されたような乳酸脱水素酵素とピルビン酸ギ酸リアーゼの活性調節がヒト歯垢中でも実際におこっていることが推察された。
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