研究概要 |
1.遠心管内で高密度培養を行った成長軟骨細胞は, 活発に増殖したのち旺盛に軟骨基質を産生した. さらに, in vivoに匹敵する高いアルカリフォスファターゼ活性を発現するとともに軟骨基質石灰化を誘導した. なお本系での石灰化には, 高濃度のリン酸の添加を必要としなかった. 2.遠心管内培養系で見いだされた軟骨基質の初期石灰化部位には基質小胞が存在していた. 3.5ーブロモデオキシウソジンは成長軟骨細胞の基質産生およびアルカリフォスファターゼ活性の発見を抑制した. さらに, 組織カルシウム含量の増加も抑制した. 4.低濃度(0.4ng/ml)のFibroblast growth foctor(FGF)は本系でのアルカリフォスファターゼの誘導および軟骨基質石灰化を完全に抑制した. 5.本培養系でのアルカリフォスファターゼの誘導および軟骨基質石灰化には血清因子が不可欠であった. 以上の結果は, 遠心管内培養系で培養した成長軟骨細胞は生体内と同様のcytodifferentiationの過程を経て軟骨基質の石灰化を誘導することを示唆している. また, 本培養系における基質石灰化は, 軟骨の分化形質に影響を与える因子を添加することにより容易に制御することができた. 従って, 本培養系は軟骨基質石灰化の機構を追求するための有力な実験系である. なお補助金で購入した高速液体クロマトグラフとそのデータ解析システムは, 血清因子および軟骨因子の分離と精製に用いている.
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