研究課題/領域番号 |
62480379
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
石田 甫 徳島大学, 歯学部, 教授 (70028364)
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研究分担者 |
渡邊 晋二 徳島大学, 歯学部, 助手 (00201187)
幸田 直彦 徳島大学, 歯学部, 助手 (60144995)
石川 康子 徳島大学, 歯学部, 講師 (40144985)
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キーワード | 唾液腺 / 耳下腺 / アミラ-ゼ分泌 / アセチルコリン / イソプロテレノ-ル / カルシウムチャンネル / ホスファチジルイノシト-ル / イノシト-ル1,4,5ー三燐酸 |
研究概要 |
耳下腺においても他の臓器と同様に腺房細胞内Ca^<2+>濃度は非刺激時には著しく低いレベルに維持されているが刺激時には比較的少量のCa^<2+>が動員されて上昇し、種々の細胞内過程を活性化して刺激に対する細胞の応答を惹起すると考えられている。私共は耳下腺における細胞内Ca^<2+>濃度の上昇は膜電位依存性ではなくて、薬物受容体を介して作働するカルシウムチャンネルによる細胞外からの流入によるものと考えられる結果を得て来た。しかし、一般に細胞内Ca^<2+>濃度の上昇にはCa^<2+>の細胞内貯蔵器官からの遊離も重要な過程であることも知られている。そこで本年度は耳下腺遊離細胞を用いてアミラ-ゼ分泌を惹起する濃度のアセチルコリンによってホスファチジルイノシト-ルニ燐酸(PIP_2)の加水分解が促進されるかどうかを検討した。耳下腺をコラゲナ-ゼ(タイプV)およびヒアルロニダ-ゼ(タイプIーS)を用いて処理して耳下腺遊離細胞を調製した。この遊離細胞をイソプロテレノ-ル(10^<-6>M)あるいはアセチルコリン(10^<-4>M)を含む反応液中で37℃にて5分間加温振盪すると、アミラ-ゼの分泌が惹起された。この時イノシト-ル1,4,5-三燐酸(IP_3)の産生が促進された。即ち、アセチルコリン(10^<-4>M)存在下で17.9p mol/mg proteinのIP_3が生成され、対照(10.3p mol/mg protein)に比して80%高い値を示した。従って、耳下腺においてもアセチルコリンによってムスカリン受容体が活性化され、膜に含有されるPIP_2の加水分解が促進されてIP_3とジアシルグリセロ-ルが産生されることが示された。このIP_3が耳下腺細胞内に存在するCa貯蔵器官からCaを放出して細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させアミラ-ゼを分泌させる可能性が示唆された。このIP_3によるCaの放出機序がカフェインのそれと異なるかどうか、またこれに及ぼすプロカインの影響等について検索を進めている。
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