研究課題/領域番号 |
62480385
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 宏 大阪大学, 歯学部, 教授 (40038865)
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研究分担者 |
島内 英俊 大阪大学, 歯学部, 助手 (70187425)
原田 泰 大阪大学, 歯学部附属病院, 助手 (10181025)
松尾 敬志 大阪大学, 歯学部, 助手 (30173800)
木村 重信 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (10177917)
恵比須 繁之 大阪大学, 歯学部, 助教授 (50116000)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 根尖病巣 / 感染根管 / 免疫学的研究 |
研究概要 |
根管内の抗原物質は宿主の免疫応答を惹起し、この免疫応答が慢性根尖性歯周炎の発症と進展に深く関与していると推察されている。しかしその詳細は不明である。慢性根尖性歯周炎の病理発生機構を免疫学的に解明することを最終目的とし、その一端として根管内抗原物質の解析および根尖病巣の病態と免疫現象との関連を検索した。まず抗原と考えられる根管内容物の性状と根尖病巣の存在率を検討した。その結果、内容物の黒色化、悪臭そして浸潤状態が根尖病巣の存在と深く関連しており、根管内抗原物質として細菌の存在が強く示唆された。そこで根管内で細菌を分離・同定し、同様に根尖病巣との関連を検討した。根尖病巣を有する根管からはEubacterium属やBacteroides属が高頻度に検出されたのに対し、病巣を認めない根管からはグラム陰性桿菌は検出されなかった。従ってグラム陰性桿、特にBacteroides属が根尖病巣成立への重要な抗原刺激となっている可能性が示唆された。次に根尖病巣の病態と免疫応答との関連を検討する目的で、免疫担当細胞の局在を免疫組織学的手法により検討すると共に臨床所見との関連を検索した。また根管浸出液中のIL-1α/β,IgGおよびIgA濃度をELISA法を用いて測定し、解析すると共に同様に臨床所見との関連を検討した。その結果、根尖病巣には各種免疫担当細胞が存在し、免疫グロブリン産生やIL-1産生など活発な免疫応答の発現していることが示された。また免疫担当細胞相互間および免疫担当細胞と臨床所見の間に関連が認められたことより、これらの細胞が根尖病巣の病態と関連している可能性が示された。根管浸出液中のIL-1,IgG,IgA濃度も臨床所見との関連性が認められ、さらに根尖病巣の治癒経過に従いこれらの濃度の推移が認められた。これらり結果より、根尖病巣の病態の相異、即ち、臨床所見の相異や治癒過程によって病巣局所で作動している免疫応答に差異の存在することが明らかとなった。
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