研究概要 |
義歯床下粘膜に加わる負担圧に影響を及ぼす因子を解明するためにシミュレーター上で負担圧を測定することとし,今年度は,その第一段階として,62年度科学研究費補助金により購入した圧力分布測定システム(SPECTROMASTER 7001)と現有のパーソナルコンピューターを用いて,静電容量型圧力センサの較正試験を行い,センサの有用性について検討を加えたところ,以下の結果が得られた. 1)圧力分布測定システムの圧力センサは,従来の感圧導電性ゴムを用いた圧力センサよりも直線性が高く(相関係数0.995),圧力測定に適している事が判明した. 2)実験測定値は1〜2kg/cmD12D2と小さく,利用する圧力センサには低圧高感度が要求されるため,電極層間にはさむ弾性ゴム材は分解能,精度の点で既製のゴムよりはむしろ硬度の低いウレタンが適している. 3)荷重を0から2Kg/cm^2まで増加させたあと,減少させるという荷重サイクルを加えた場合,その増減過程において出力電圧値は一致せず,ヒステリシスが認められた.その最大値は圧力値に換算して50g/cm^2であった. また,無荷重時の出力電圧値は0とならず,負の値を示し,クリープが認められた.しかし,その値は小さく,補正は可能であった. 以上の実験結果より,今回改良を加えた圧力センサの誤差範囲は,最大±5%F.S.であり,従来から使用されているダイヤフラム型圧力センサと比べれば精度的(同様の実験結果から誤差は±1%F.S.)には多少おちるものの,センサの密度を細かくでき,かつ,煩雑な配線を簡略化できることなどの利点があり,定性的ならびに多数点での圧力測定には適した圧力センサであると考えられる.
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