高齢者におけるOra1Motor Behaviourの変化に関して、その舌運動に着目し、舌運動の功緻性、指示追従性などの評価が義歯装着者における咀嚼機能の客観的な診断基準となりうるか否か、また、舌運動能の増齢に伴う変化がいかなるものかなどの基礎的資料を得ることを目的として、汎用超音波診断装置を用いて舌運動の観察を行っており、今年度は、正常有歯顎者と全部床義歯装着者における指示運動時の規則性について比較検討した。 方法は、Aloka社製 汎用超音波診断装置 SSD-630、周波数5MH_z、曲率半径60Rの電子コンベックス浅部用探触子 UST-935N-5にてM-Modeによる舌の上下運動を観察し、Aloka社製 Ultrasono Recorder SSZ-95にて記録を行った。舌の上下運動は、咬頭嵌合位にて舌を安静にさせた位置より、メトロノームにあわせて舌尖を切歯乳頭部と舌小帯上方付着部に、毎秒60回と120回の2種類のスピードで軽く触れる運動を指示した。数回の練習を行わせた後、レコーダーによる記録を行い、安定した10回の運動軌跡をデジタイザーにて計測した。すなわち、上下運動サイクル、上方接触時間、下方接触時間、上方行運動時間、下方行運動時間である。そして、各々のステージの規則性を分析した。 本研究により、加齢に伴う舌運動における功緻性の低下が示唆されたが、この結果を第80回日本補綴歯科学会学術大会(10月23日、岐阜)で「超音波診断装置による舌運動の観察」と題し口頭発表を行い、日本補綴歯科学会雑誌33巻2号に「加齢と舌運動の功緻性について--超音波診断装置による観察--」と題し論文発表(論文原稿受付証明添付)を行った。
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