研究概要 |
当科においては, 上顎腫瘍切除後の顎欠損患者の術後には義顎を装置して術後の口腔機能の回復をはかっている. 義顎を装着することで回復される口腔機能には, 咀嚼機能と構音機能がある. 義顎の装着により両機能とも改善されるが, その改善の程度を簡便にかつ客観的に知るのは難しかった. われわれはATP顆粒剤を試料に用いた咀嚼能力測定法を開発した. 義顎装着患者にATP顆粒剤5gを50回咀嚼させた. 咀嚼されたATP顆粒剤をビーカーに回収し, それを蒸留水にて2000mlに希釈した. その希釈液を十分に撹拌し, その一部を採取濾過し, 分光光度計にて259mmでの吸光度を測定した. これを1クールとして, 3クール行ないその平均値をとり, その患者の咀嚼能力とした. 咀嚼能力の大きい者はATP顆粒剤を多く咀嚼粉砕し, その吸光度も高く表示される, 患者1人1人の口腔状態,顎欠損の大小,歯牙欠損の状態に応じて咀嚼能力が測定できた. このATP吸光度法による咀嚼能力測定法を義顎装着者だけでなく, 下顎前突症や上顎前突症の様な顎変形症患者にも応用し手術前後における咀嚼能力の変化も調べてみた.
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