代表的な局所麻酔薬であるリドカインとプロカインとについて、そのカルボン酸誘導体を合成し、Radioallergosorbent Test(RAST)に応用した。また局所麻酔薬に防腐剤として添加され、しかもその抗原性が問題視されているメチルパラベンについても同様にRAST法を開発した。リドカインのカルボン酸誘導体は2-6XylidineとN-Methyliminodiacetic acidとから合成した。また、プロカインのカルボン酸誘導体はプロカインと無水コハク酸とから合成した。さらにメチルパラベンはEthyl P-hydroxy O-henzool glycolateを加水分解してカルボン酸誘導体とした。これら局所麻酔薬およびメチルパラベンのカルボン酸誘導体をアミノ基を有するウシ血清アルブミンとcouplingさせ、臭化シアンで活性化したセルロースディスクに固定したところ、これら抗原のディスクへの吸着は洗浄によっても影響を受けないものとすることができた。このディスクに局所麻酔薬にアレルギーをもたない100名の被験者の血清50ulと^<125>Iで標識した抗IgE抗体50ulを加えてインキュベートし、局所麻酔薬に特異的なIgE抗体の証明を行った。この結果、局所麻酔薬にアレルギーをもたない患者の正常RAST値はリドカインで1653±354cpm、プロカインで2750±264cpm、メチルパラベンで2805±336cpmであった。この結果から平均値±2SDを正常範囲内と判断し、リドカインで2161cpm以下、プロカインで3278cpm以下、メチルパラベンで3477cpm以下を正常RAST値とした。また、過去に局所麻酔薬投与によってアナフィラキシイ一様反応をおこしたことのある患者6名の血清を全国各地区より送ってもらいRAST法を応用したところ、これら6名のRAST値はいずれも正常範囲内であった。したがって、これらのアレルギー反応はIgE抗体を介する即時型アレルギー反応ではないか、他の併用薬剤によるアレルギー反応と考える。
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