研究概要 |
顎関節円板が位置的異常をきたした顎関節内障は, その進行に伴い円板の位置異常ばかりでなく, 形態の異常を伴うことが対いと言われている. しかし, 本症における関節円板の病態は未だ十分に明らかにされていない. そこで顎関節内障患者における関節類板病態を, 顎関節腔造形エックス線撮影法ならびに顎関節腔鏡視法を用いて観察するとともに, それら所見と顎関節内障手術時所見および手術時切除標本の病理組織学的所見とを比較検討することにより, 顎関節内障患者特有の関節円板病態を解明する. そこでまず顎関節内障患者の上下顎関節腔内に陽性造影剤を注入し, エックス線テレビシステムを用いて関節円板の動態を見察しビデオテープに記録した. その結果, 関節円板動態異常所見として関節円板の位置異常と協調失調が認められ, 前者には関節円板前方転位と関節円板後方転離がみられた. 関節円板前方転位には, 開口途中に関節円板がエックス線解剖学的に正常な位置的関係に復位するものと復位しないものがあった. また復位を伴う円板前方転位は早期型と晩期型とに,復位を伴わない前方転位を制限型と不全型とに分けられた. これらの結果は, 第8回顎関節研究会および第232回東京歯科大学学会総会において発表された. ついで昭和62年度助成金にて購入した顎関腔鏡用小型テレビシステムに光源,拡大ズーム機能に若干の改良を加えた上で, すでに述べた顎関節腔造影エックス線検査と前後して, 上関節腔内に顎関節鏡を挿入し, 上関節腔内病変を内眼的に観察するとともに, 小型カラーテレビシステムにてビデオテープに記録している. 今後, 顎関節腔造形エックス線所見と顎関節鏡視所見とを比較検討する予定である. また顎関節内障手術施行例における切除円板の病理組織学的所見については, その石灰化について第1回日本顎関節学会総会において発表する予定である.
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