研究課題/領域番号 |
62480415
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高濱 靖英 九州大学, 歯学部, 教授 (20037518)
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研究分担者 |
一ノ瀬 元史 九州大学, 歯学部, 助手 (30150460)
阿部 潔 九州大学, 歯学部, 助手 (90167932)
鈴木 陽 九州大学, 歯学部, 助手 (20037542)
松田 政登 九州大学, 歯学部, 助手 (90108754)
秋山 陽一 九州大学, 歯学部附属病院, 助手 (50037537)
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キーワード | 矯正治療の後戻り / 咬合の遺伝 / 切歯歯軸の変化 |
研究概要 |
本年度は、初年度に側貌頭部X線規格写真で分析を行った60名の矯正治療患者とその両親120名のうち、石膏咬合模型が治療前、治療終了時、予後観察後に揃っている44名と、正貌頭部X線規格写真が同様に揃っている56名のセファログラム280枚について分析を行った。 1.咬合模型の分析 矯正治療においては、第一大臼歯の咬合関係を正常な咬頭嵌合にし、他の部分の咬合調整を計る。治療前後における上下顎歯列弓の近遠心的関係の変化を見るたる、第一大臼歯の咬合関係の変化を計測した。だが小臼歯の抜歯症例ではこの変化量、即ち咬頭嵌合のズレの絶対値では問題があるので、近遠心的変化量の方向性についてx^2ー検定を行った。 治療前後での第一大臼歯の咬頭嵌合のズレは、逆の方向に向かっていた(P<0.10)。叢生等により小臼歯を抜歯し歯の排列を行った症例では第一大臼歯は近心に移動したが、治療終了後装置を撤去すると遠心方向へ後戻りしたことを表していると考えられる。なお咬合平面内での歯牙の捻転等の後戻りに関しては写真撮影をし、較正後計測・分析中である。 2.正貌頭部X線規格写真の分析 正貌頭部X線規格写真上では矯正治療による側方歯群の変化を数量的に検討することは困難であるが、上下中切歯の歯軸の関係を数量化、矯正治療による変化を調べた。治療前後では顎顔面に対する歯軸の傾斜に線的関係を認められなかったが、治療終了時と数年間の予後観察後との間には統計的に有意な相関関係が認められた(P<0.01)。治療効果は、正貌観に限って言うと、ある程度維持されていることを示している。上下中切歯の歯軸の親子間における相関関係は、治療のどの時期をとっても認められなかった。歯軸や歯槽骨の領域は後天的、環境的影響が強い部位と考えられる。
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