研究概要 |
最重度の心身障害者の歯科治療時にパルスオキシメーターは, 最も重要なモニターとなりうることが明かとなった. 本年度は, パルスオキシメーター(CSI502)と記録用のコンピュータ(NEC98LT)間のデータ受信のコンピュータープログラムおよびデータ処理用コンピューター(NEC9801)を用いた同時解析プログラムを9月末までに自主開発した. これにより, 歯科治療時の膨大なPaO_2をリアルタイムで連続的に測定し, 診療内容とともに記録することが可能となった. 同時にビデオカメラで診療時の患者の状態が記録できこれを分析することによって脳性麻痺患者にとって最も安全かつ楽な歯科治療姿勢を検索することが可能となった. これらを用いて, 最重度の重症心身障害児154名の歯科検診時のPaO_2(動脈血酸素飽和度)を測定した. 1)約9割の者がSpO_2値(パルスオキシメータ測定動脈血酸素飽和度)94〜99%を示した. 残りの約1割の者はSpO_2は90%以上が, ほとんどである事が明かとなった. 2)心疾患(ファロー四微)を合併した重症脳性麻痺児でSpO_2が70%以下を示した者が一名いた. 3)重症脳性麻痺患者では通常の歯科治療でも姿勢によってはSpO_2が85%以下になる事があった. パルスオキシメータ監視時には, こうした低値となった場合直ちに警報により知ることができるため, 気道の確保, 分泌物吸引など直ちに対処できる利点があることが明かとなった. 4)パルスオキシメータは重症脳性麻痺患者の通常の歯科治療時はもちろん, 各種の〓静法や全身麻酔時の術中術後管理に有用であった. 特に術後長時間にわたって呼吸の監視が必要な症例では, きわめて有用であった.
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