研究概要 |
1.まず, ラット大脳皮質からシナプトソーム及びシナプス小胞を単離する方法を確立した. 蔗糖密度勾配及びパーコール密度勾配を用いた超遠心分画法の条件を種々に設定し, 得られた膜画分を電子顕微鏡観察して純度を調べ, 再び条件を改変するという操作を繰り返し, 純度の高いシナプス小胞及びシナプトソーム標品を短時間に得る手法を確立した. 2.得られたシナプトソームを外在性リン脂質と共に可溶化・透析処理,凍結・融解処理を施して, 再構成プロテオリポソームの巨大化を行なった. この標品に対して, パッチクランプ法を適用し, 数種のカリウムチャネルを見いだし, その電気生理学的, 薬理学的性質を調べた. 特にカルシウム依存性のカリウムチャネルは, シナプス前膜の機能において重要な生理的意義を有するものと考えられ, 興味深い. 3.プロテアーゼ処理, 凍結・融解処理, 電場融合法などの操作を組み合わせることにより, シナプトソームをそのまま, 外在性脂質を用いることなく巨大化させる試みを行い, ほぼ成功の段階に到達した. プロテオリポソームとは異なって, この標品は微小電極の刺入が可能であった. 得られた巨大化シナプトソームがカリウム選択性を有することは, カリウム勾配の下での平衡電位を, 微小電極法により測定して確認した. 4.シナプス小胞を平面膜に再構成し, 数種のカリウムチャネルを見いだし, その性質を調べた. 今後, シナプトゾームのカリウムチャネルとの異同を明確にする予定である. 5.これらの計画を続行し, 更に発展させることによって, 次年度(最終年度)には, 所期の目的を達成できる見通しを得た.
|