研究概要 |
モルモットのマクロファージ(Mφ)と多形核白血球(PMN)には、IgG2抗体にのみ結合するFcR_2と、IgG2とIgG1抗体の両方に結合するFcR_<1,2>の2種類のFcレセプター(FcR)が存在することをそれぞれのFcRに対するマウス単クローン抗体を作製して証明した。これら2種類のFcRのMφとPMNの抗原の識別と排除機能に占める役割を明らかにする目的から研究を進め、以下の事実を見出した。 1.印アルブミンなどの蛋白抗原の抗体結合物に対するMφの食作用を解析、1)赤血球の抗体結合物に対する食作用はFcR_2を介して優先的に起こるに対して、蛋白抗原の抵抗結合物はFcR_2とFcR_<1,2>のいずれを介しても同様に起こる。2)FcR_2又はFcR_<1,2>に結合した抗原抗体結合物はいずれも約6分の半減期で細胞内に取り込まれ、約90分の半減期で消化分解されて細胞外に放出されることを明らかにした。これらの活性の点では、FcR_2とFcR_<1,2>の間に相違は認められないが、FcR_2を介する食作用は約2時間で停止するに対して、FcR_<1,2>を介する食作用は8時間以上にわたって進行する点で著しく異なる。 2.PMNのFcR_2への抗原抗体結合物の結合はミクロフィラメントのF-アクチンへの重合反応を始動させる作用が著しく弱いが、FcR_<1,2>への結合は作用が強い。 3.PMNのFcR_<1,2>は分子量や抗原性の点でMφのFcR_<1,2>と区別されないが、PMNのFcR_2はMφのFcR_2と交差反応性の異なる蛋白であることをマウス単クローン抗体を作製して証明した。 4.ヒトの末梢血PMNを用いてFcRを介する刺激の伝達機構を調べて、GTP結合蛋白が関与しないことを見出し、この点でC5aアナフィラトキシンやformyl-Met-Leu-Pheによる刺激に対する応答の機構と異なることを明らかにした。
|