研究分担者 |
彌益 暁子 北里大学, 薬学部・薬理学教室, 助手 (80174697)
宇都宮 郁 北里大学, 薬学部・薬理学教室, 助手 (70168722)
八巻 幸二 北里大学, 薬学部・薬理学教室, 助手 (70174597)
林 泉 北里大学, 薬学部・薬理学教室, 助手 (90172999)
林 正彦 北里大学, 薬学部・薬理学教室, 講師 (20164965)
|
研究概要 |
血漿中高分子および低分子キニノゲンの遺伝的欠損ラットB/NーKatholiekは, 第三のキニノゲンのTーキニノゲンを正常ラット(B/NーKitasato)と同程度に有していることが, ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定・確認された. またこの両ストレーンのラットにカラゲニン足浮腫を惹起すると, 正常ラットでは3〜5時間にピークの腫れ約1mlが認められたが, 欠損ラットでは殆んど腫脹が認められなかった. 血漿キニン系の活性化の結果, 生じる活性物質であるブラジキニンはキニナーゼにより速やかに分解されてしまうので, キニナーゼの抑制〓カプトプリルの前投与の影響を調べた. 正常ラットでは, カラゲニン足浮腫の3〜5時間に足の腫脹が著明に増加したが, 欠損ラットではまったく変化が認められなかった. 同様の傾向はカオリン及びカラゲニン胸膜炎においても認められ, 胸腔内浸出液の貯溜や浸出速度において, 欠損ラットでは正常に比し著しく低値であった. またカプトプリルの前処置によって正常ラットでは浸出液貯溜が有意に増加したが, 欠損ラットの場合には変化がみられなかった. 外から投与したブラジキニンやTーキニンに対する感受性が両ストレーンで異なるか否かを脊部皮内にブラジキニン・Tーキニンを注射し, 色素を用いて調べたところ, 血管透過性亢進の反応には両者において差が認められなかった. 以上から足浮腫やカラゲニン胸膜炎の腫脹や,浸出液の貯溜においては血漿中カリクレインの活性化を介し, 高分子キニノゲンからブラジキニンが遊離され, 大きな役割を演じていることが推察された. しかしTーキニノゲンのみを有するB/NーKatholiekにおいてカプトプリルの増強がみられなかったことから, キニンは高分子又は低分子キニノゲンより遊離されるがTーキニンの遊離はあり得ないことが推論された. また血漿中および肝臓中Tーキニノゲン量は炎症惹起後24時間以降数倍から20倍に増加が認められ急性相因子であると考えられた.
|