研究概要 |
(1)アルキルエーテル型リン脂質のアシル化機構:アシル基のacceptorとして1ーアルキルーGPCを用い, 又, donorとして^<14>Cーアラキドン酸(20:4)や種々の^<14>Cー脂肪酸が2位に導入されたジアシルGPCを用いて, そのメカニズム及び生理的意義を追求した. このトランスアシラーゼの基質となる脂肪酸は, Cの数が20のものがよい基質であり, 生体にとった特に重要であるアラキドン酸やドコサヘキサエン酸(22:6)のアルキルリン脂質への導入に, トランスアシラーゼが重要な役割を演じていることが分かった. (2)アラキドン酸放出とアセチル基の導入(PAF産生):アラキドン酸を放出して生じたリゾPAFは, マクロファージ内で, アセチルC_oA:アセチルトランスフェラーゼとトランスアシラーゼにより, 競合的にアシル化又はアセチル化されるか否かを研究し, 両者はほぼ同じ濃度で競合していることが判明した. マクロファージ細胞内で生じたリゾPAFは, おそらく, PAFを合成する情報が存在する時はアセチルC_oAと反応してPAF合成に使われ, 情報が存在しない時はアラキドン酸が導入されてPAF前駆体となると思われる. (3)項目(1)で述べられたトランスアシラーゼの基質となるホスファチジルコリンの2位には多くのアラキドン酸が存在し, されがリゾPAFに導入されて, PAF生理活性の発現に関与することが分っているが, 私達は, 従来から判明しているアシルC_oA:1ーアシルーGPC アシルトランフェラーゼ活性以外に, C_oAを必要とし, ATP, Mg++を必要としない, C_oA依存性トランスアシレーション系について解析を行った. その結果, 本反応では, 転移する脂肪酸に関して著して基質特異性(18:0,18:2,20:4)のあること, アシルC.ナ_<o.ニ>A:1ーアシルGPCアシルトランフェラーゼとは熱安定性など種々の点で異なっていることを見出し, この2つの系は, 細胞内でのアラキドン酸のリン脂質間の移動に連動している可能性を示した.
|