研究課題/領域番号 |
62480425
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
和久 敬蔵 帝京大学, 薬学部, 教授 (90013854)
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研究分担者 |
杉浦 隆之 帝京大学, 薬学部, 助手 (40130009)
中川 靖一 帝京大学, 薬学部, 講師 (00119603)
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キーワード | アルキルエーテル型リン脂質 / マクロファージ / 血小板活性化因子 / アラキドン酸 / トランスアシラーゼ / アセチルトランスフェラーゼ |
研究概要 |
1.アセチルトランスフェラーゼ(PAF酸性酵素)に対する薬物の作用 マクロファージをCa^<2+>イオノフォアであるA23187(10μM)で刺激すると、lysateにおけるアセチルトランスフェラーゼの活性は2-3倍上昇していた。この活性上昇は刺激後30秒で既に観察されたが、刺激後20分たった細胞ではやや低下した。又、A23187だけでなくopsonized zymosan(4mg/ml)でも活性の上昇が認められた。典型的な発癌プロモーターのTPA(100ng/ml)では変化は僅かであった。尚、この様な刺激以外にもマクロファージを低温から37℃に移すだけで一過的なアセチルトランスフェラーゼの活性上昇が起こることも判明した。これらの結果は、アセチルトランスフェラーゼが細胞の活性化(特に細胞内Ca^<2+>の上昇)と強い関係があることを示唆するものである。 2.アセチルトランスフェラーゼとトランスアシラーゼのリゾPAFに対する拮抗、マクロファージlysateのアセチルトランスフェラーゼ活性は、100μMのアセチルCoAを加えた場合、474pmole/min/10^6cellであり、アシル型やアルケニル型のリゾCGPも良い基質となることが分かった。一方、トランスアシラーゼ活性は、98pmole/min/10^6cell lysateで、刺激したマクロファージのlysateで大きな変化はみられなかった。又、リゾPAFのリゾホスホリパーゼD系による分解活性は67pmole/min/10^6cell lysateで、これも刺激しても大きく変動はしなかった。一方、アセチルトランスフェラーゼ活性はアセチルCoAの量によっても大きく影響を受け、例えば外因性のアセチルCoAを加えずに内因性のものだけで反応を行わせると、リゾPAFはむしろトランスアシラーゼによって代謝されることが分かった。実際の細胞内では、リゾPAFはアセチルトランスフェラーゼでなく、殆どトランスアシラーゼやリゾホスホリパーゼDによって代謝を受けていると思われる。今後、細胞内における酵素や基質等の局在性も更に検討が必要かと思われる。
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