研究概要 |
初年度に設定した研究計画はほぼ完全に実施された. 得られた成果を計画した課題別にまとめると以下のとおりである. 1.ペルオキシゾーム薬物代謝反応の形式 遊離肝細胞を用いたペルオキシゾーム薬物代謝活性の測定法を開発した. またアルキル側鎖のω酸化を経る反応にも応用可能であることを実証した. さらにアルキル側鎖のω酸化反応とそれに続くアシル基のβ酸化反応とでは前者の方が律速となり, ペルオキシゾーム代謝活性は十分に高いことを証明した. 2.ペルオキシゾーム薬物代謝系の酵素学的機構 ペルオキシゾームおよび対比すべきミトコンドリアのβ酸化系酵素7種をラット肝細胞から精製した. それを用いた検討結果から, 薬物アシル側鎖の短縮反応がペルオキシゾームで優位に進行するのは, ペルオキシゾーム構成酵素の特性に基づくことを明らかにした. 3.ペルオキシゾーム薬物代謝活性の変動因子 ペルオキシゾーム酵素活性の変動を主として薬物投与による影響の面から検討し, ペルオキシゾーム酵素の誘導形式が薬物種により分類できることを示唆した. また次年度以降に予定されていた誘導の種差についてもすでに検討が進んでいる. 以上の研究成果は, 別紙研究論文の他に, 下記の方法で発表している. (A)国際先天性代謝異常学会サテライトシンポジウム(1987年5月, 箱根), (B)日本生化学会シンポジウム(1987年10月, 金沢), (C)新潟神経内科シンポジウム(1987年11月, 新潟), (D)日米合同薬学大学シンポジウム, (1987年12月, ハワイ), 日本薬学会年会〈7編〉(1988年4月, 広島)
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