研究概要 |
諸外国において分離ずみのRFLP(DNA多型)用プローブ約50種を入手, うち40種につきサブクローニング, 制限酵素切断部位の確認, 切り出しなどを行い, 実際に使用可能な状態にまで持って来た. 続いて正常な日本人集団60人よりDNAを抽出, 諸外国(白人)においてRFLPの検出が報告されている制限酵素とプローブの組み合せ40種を用いて, 各組み合せごとに50ないし60個体のDNAについて多型分析を行った. その結果, 日本人集団では全く多型を示さない組み合せ5種, 多型は示すが白人集団の場合と全く異なり, おそらく日本人ないし東洋人に特異的と思われる多型所見を4種の組み合せで検出した. 要約すると簡単だが, ここまでの段階だけでサザンブロット2400レーン(40×60)という膨大な作業量を含む. これらの結果より, プローブと特定の制限酵素の組み合せの内20%を越えるものが, そのままでは日本人集団の解析に役立たず, 予め日本人集団についての検索が必要であることを示している. 続いて遺伝性の神経筋疾患で, 酵素異常などの存在が知られていない"成因不明"の疾患の遺伝子座位を, 多型プローブとの連鎖関係に基づいて決定する試みを開始することとした. 先ず痙性対麻痺の1家系の構成員計8名につき, 既存の遺伝標識として血液型, 血清蛋白の多型など計21種を選び多型解析を行った. 本家系において連鎖を否定したもの7種, 一応プラスのロッド値が得られたもの5種, この家系では多型の組み合せから情報の得られなかったもの9種である. 続いて全例よりDNAを抽出, 種々な制限酵素で切断の後にゲル電気泳動などを行いサザン活用のフィルターを作製, 現在, 種々なプローブを用いて(何れも日本人において多型検出力があることを確認ずみのもの), 多型解析を進めている.
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