1)X染色体の長腕q27-q28に座位を占める新しいRFLP用プロ-ブの開発に成功した。本プロ-ブはTaqIなど計6種の制限酵素との組合せでRFLPを検出すること、日本人61名についての解析により対立アレルの頻度は0.27対0.73(TaqIの場合)であることなどを明らかにした。fraxなど重要な疾患と座位も近く、多数の酵素が使用可能であることと合せ、極めて実用性が高いと思われる。2)従来は多型の存在が知られていないプロ-ブを用いて、2種の新しいRFLPを発見、日本人男女計179例を分析し、アレルの頻度を算出した。3)新しいミニサテライト型の高度多型1種を発見、1卵性及び2卵性の双胎に応用し、その有用性を確認した。4)既存のRFLPは何れも白人集団において発見されたものであることから、日本人集団を対象に分析を行い、現在入手可能なRFLPプロ-ブのうち約12%は日本人で多型を検出しないこと、他に20%のプロ-ブで対立遺伝子の頻度が日本人で著しく異なるため、予め正常値を算出しないと卵性診断などに使用できないことなどを示した。また日本人ないし東洋人特有と思われるPFLPも発見した。5)VNTR5種について日本人における正常値を算出、実地への応用の途を拓いた。6)遺伝性痙性対麻痺につき既存の多型標識及びRFLP計40種による連鎖解析を行った。また、血友病22家系につき5種のプロ-ブによる保因者診断を試み、86%で成功した。7)染色体の構造解析にサザンブロットを応用、14q遠位端付近の部分トリソミ-の同定、r(20)を疑われた例でその否定、Yを含む転座2例で構造の詳細の決定に成功した。8)低頻度モザイクの検出ヘサザジンブロットを応用し大幅な検出感度の向上に成功した。9)オンコジンN-mycの内部に初めてRFLPを発見、日本人におけるアレルの頻度、発がんにおける意義などにつき検討した。
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