麻酔開胸犬の心筋組織を走行する心臓リンパ液を採取するため、肺動脈、大動脈の裏側に位置するリンパ節に内径約0.4mmのポリエチレンチューブ(イントラメディック)を挿入した。リンパ管に挿管したチューブは犬の喉のところで体表面に出し、光端を固定した。手術終了後閉胸し、約4時間安定に保ったのち、リンパ液を採取した。採取したリンパ液と尿素とLysis bufferを1:1:1の割合で混合したサンプル液15μlをアクリルアミドゲル等電点電気泳動にかけ、次に等電点電気泳動ゲルをSDS電気泳動にかけた。これがいわゆる二次元電気泳動法であるが、心臓リンパ液の二次元電気泳動パターンを図1と図2に示す。図1にはSDSゲルをクマジー・ブリリアント・ブルー染色したゲルを、図2には銀染色したゲルのパターンを示してある。泳動パターンに大きな差は認められないが、銀染色の方がより鋭敏であるため、微量の蛋白質のスポットがたくさん認められる。現在、冠動脈閉塞30分後に再灌流し、その5分後に得られるリンパ液の二次元電気泳動パターンを調べているが、再灌流後に得られるリンパ液の泳動パターンには閉塞前に得られるリンパ液よりも銀染色される小さな蛋白質のスポットが多い傾向が認められる。
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