研究課題/領域番号 |
62480431
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堀 了平 京都大学, 医学部, 教授 (40001036)
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研究分担者 |
桜井 恒太郎 京都大学, 医学部, 講師 (80127084)
谷川原 祐介 京都大学, 医学部, 助手 (30179832)
安原 眞人 京都大学, 医学部, 講師 (00127151)
神谷 晃 京都大学, 医学部, 講師 (90124792)
乾 賢一 京都大学, 医学部, 助教授 (70034030)
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キーワード | 抗不整脈薬 / pharmacokinetics / pharmacodynamics / 腎疾患 / 初回通過効果 / バイオアベイラビリティ- / アジマリン / プロプラノロ-ル |
研究概要 |
有効かつ安全な薬物療法の達成には薬物の体内動態と、作用部位における濃度と効果の関係の解明が不可欠である。特に不整脈治療においては薬物による治療効果の個体差が大であることから、適切な投与設計法の確立が広く国際的にも望まれている。平成元年度は本研究計画の最終年度にあたることから、現在までの成果の取りまとめを行うとともに、以下の知見を得た。 1.硝酸ウラニル投与により引き起こした腎障害モデルラットにおいて、アジマリン経口投与後の薬物血漿濃度-時間曲線下面積は、正常ラットの2.8倍に増加したが、薬物静注後の血漿濃度には差が認められず、アジマリンのバイオアベイラビリティは正常群の16.7%から腎障害群では41.4%に増大した。 2.門脈内にアジマリンを持続注入した場合、薬物の見かけの肝抽出率に正常群と腎障害群で有意な差は認められなかったが、薬物の注入速度を0.05から0.25mg/min/kgに増加すると、両群とも肝抽出率が約80%から60%に低下し、アジマリンの肝抽出過程の非線形性が示唆された。 3.In situル-プ法で求めたラット小腸からのアジマリンの吸収初速度は、正常群に比し腎障害群で有意な上昇を示した。 4.代表的なβ-遮断薬であるプロプラノロ-ルについても、肝抽出率の非線形性と腎障害時の小腸からの吸収速度の上昇が認められた。 これらの結果から、アジマリンやプロプラノロ-ルのように肝初回通過効果を受ける薬物を腎疾患時に経口投与した場合、吸収速度の亢進と肝抽出過程の非線形性のために、アベイラビリティが上昇することが推察された。これらの知見の一部は、1989年7月に西ドイツで開催された第4回国際臨床薬理学会で発表した(Eur.J.Clin.Pharmacol.,36,A127,(1989))。
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