研究概要 |
本年度の研究実施計画に従って以下の研究と進め応分の成果を得た。 1.IgA多発性骨髄腫患者血清の収集:患者血清127検体を各研究施設、病院などから提供を受け、OXOID社より市販されている抗体を指標としてサブクラスを同定、免疫原のソースとした。 2.IgAの精製:既に確立した方法による。硫安塩析、抗α鎮抗体結合アフィニティークロマトグラフィーによりIgA1、IgA2を精製した。純度確認はSDS-PAGE、免疫電気泳動法による。 3.モノクローナル抗体の作製:既に確立した方法による。抗IgA1抗体はクローン3C3-3Aを得た。IgA1型と同定されている103例の骨髄腫血清の内102例が自家製抗体を用いた酵素免疫測定法によりIgA1と確認同定された。しかし、この抗体ではS-IgA1の認識は出来ない。抗IgA2抗体はクローン1F8-58が得られ、IgA1抗原、IgA1骨髄腫血清との反応も全くなく、IgA2型骨髄腫血清12例と特異的な反応陽性を示した。 4.臨床応用:抗α鎮抗体(ポリクローナル)、ペルオキシダーゼ標識抗IgA1抗体、抗IgA2抗体を用いた酵素抗体法(ELISA法)により、血清におけるIgAサブクラスの定量・定性が可能になった。標準物質として骨髄腫より精製した抗原を用いた場合、IgA1では10〜1,000ng/mlIgA2では50〜1,000ng/mlの範囲で定量可能と考えられている。自家製の抗体を用いて、ヒトα-chain病のサブクラスがIgA1であることを証明しており、また、ヒトα-mとIgAが複合体を形成する場合に、サブクラスに関連性がないことを証明するなど、実際臨床の現場での応用を更に拡大するデータを得て来ている。
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