研究概要 |
免疫グロブリンサブクラスの内、主にIgAサブクラスについて病態検査学上の意義を明らかにすることを目的に、IgA1、IgA2サブクラス抗原の精製、モノクロ-ナル抗体の作成、酵素免疫測定法を確立し、正常者およびIgA異常性の血中動態を本邦で初めて分析した。本研究により確立した精製法、精製抗原、抗体を用いて1gA結合α_1-マイクログロブリン(α_1-m)に関する研究、α鎖病の構造解析を進めて応分の成果をあげた。以下に、これまで研究成果を概要をまとめた。 1)IgAサブクラス抗原の精製:他の免疫グロブリンクラスが著減している骨髄腫血清を精製原にして40〜50%硫安で塩析、抗α鎖抗体結合アフィニティ-クロマトグラフィ-により精製抗原を得た。純度検定確認はSDS-:PAGE、免疫電気泳動法による。 2)モノクロ-ナル抗体の作成:通常の方法でマウスに免疫して力価、特異性に優れた抗IgA1抗体(3C3-3A)、抗IgA2抗体(IF8-58)クロ-ンを得た。 3)モノクロ-ナル抗体のエピト-プ解析:IgA1プロテア-ゼ(C.Ramosum,H Influenzae,M.Gonorrhoaなど)でヒンジ部を切断の後、Western blotting法で分析した結果、ヒンジ部よりC末端のFc_α部分を主として認識することが明らかとなった。 4)IgA結合α_1-mに関する研究:ヒトα_1-mは血中で約50%がIgAと複合体を形成して、原理の異なる測定法間のバラツキの原因となっていることが明らかとなった。 5)臨床応用:酵素免疫測定法(サンドイッチ法)を確立して、正常者および患者血中の動態変化を検索した。10〜60才までの正常者IgA1濃度は平均2.2mg/ml、IgA2 0.2mg/ml、IgA1/IgA2比9.4で、骨髄腫患者117例中、IgA1 104例、IgA2 13例と正確に特異的に分別・同定された。 これらの研究成果について今年度より国内外の雑誌、学会に遂次発表予定である。
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