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1989 年度 実績報告書

周波数依存減衰による音響組織特性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 62480436
研究機関自治医科大学

研究代表者

伊東 紘一  自治医科大学, 医学部, 教授 (60095007)

キーワード肝癌 / 血管腫 / 周波数依存減衰
研究概要

すでに正常肝、脾および諸肝症患については周波数依存減衰値を明らかにした。乳腺、甲状腺、筋肉および脳の減衰についても調査を行った。肝の限局性病変の減衰値の減衰値が低い値をとる事は判っていたが、一般的な超音波画像で考えられている癌や血管腫の差あるいは肝細胞癌と転移性の差、さらに転移性肝癌の中でも原発巣による差等々を知る目的で、今回は肝限局性病変について検討した。十分な検査により確定診断のなされた肝血管腫5例、肝細胞癌16例、転移性肝癌22例および肉芽腫1例を対象とした。方法は従来通りZero-Crossing法による計算であり、加算平均を行った。限局性病変の大きさは1.8cm〜8cmである。
肝血管腫における減衰値は0.24〜0.5dB/cm/MHz、平均0.35±0.10dB/cm/MHzであった。これは正常の肝組織よりも有意に低い値である。肝細胞癌では0.26〜0.79dB/cm/MHz、平均0.45±0.16dB/cm/MHzであった。これに対して転移性肝癌は0.43±0.15dB/cm/MHzであり、両者間に差はなかった。そこで転移性肝癌を肺癌を原発巣とするものと腸癌を原発巣とするものに区別して比較したところ、前者では0.38±0.12dB/cm/MHzであり、後者は0.50±0.13dB/cm/MHzであり、両者の間に有意な差がみとめられた。
これらの結果から血管腫は最も低い減衰法を示す事と、肝細胞癌と転移性肝癌の間に差をみとめない事、さらに転移性肝癌の中で原発巣により減衰値に差を生ずる事などが判明した。この事から、超音波検査におけるエコ-レベルの差などの所見をウラヅケル所見と考えられた。
今後なお、本システムを利用して、諸臓器の減衰値の測定および、諸病変の差を解明していきたい。音響組織特性の為の基礎的知見の集積の上に立つ超音波病理系の新しい転機を向かえる事が出来るものと考えられる。減衰以外の音速や弾性の研究との比較研究も必要となり、血液情報の組合せへと発展したい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Kouichi Itoh,Yoshikazu Yasuda,Osamu Suzuki,et al.: "Studies on Frequency-Dependent Attenuation in the normal liver and spleen and in liver diseases,using the spectral-shift zero-crossing method." J Clin Ultrasound. 16. 552-562 (1988)

  • [文献書誌] 谷口信行,伊東紘一,森博昭: "正常骨格筋の周波数依存超音波減衰に関する研究" 超音波医学. 16. 81-90 (1989)

  • [文献書誌] 谷口信行,伊東紘一,倉松俊弘,柳沢正義: "Spectral-shift Zero-Crossing法による周波数依存減衰に関する研究(新生児・乳児の脳への応用)" Neurosonology. 2. 281-285 (1989)

  • [文献書誌] Kouichi Itoh,Nobuyuki Taniguti,et al.: "Studies on the Frequency Dependent Attenuation in normal thyroid and in diseases,using spectra shift zero crossing" J of Clinical Ultrasound in Medicine. 7. 238 (1988)

  • [文献書誌] Hiroaki Mori,Kouichi Itoh,Nobuyuki Tanigchi: "Studies on frequency dependent attenuation in tumor of the liver." J of Clinical Ultrasound in Medicine. 7. 132 (1988)

  • [文献書誌] 谷口信行,伊東紘一,森博昭: "周波数依存減衰の臨床的応用:脂肪肝における脾の検討" 日本超音波医学講演論文集. 52. 125-126 (1988)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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