研究概要 |
1 香り濃度測定装置の性能の検討 本装置は, 昭和61年に開発され, この装置を利用した研究は極めて少ない. そこで, 先ず装置の性能の検討を行った. 実験室の環境条件が一定の気温,気湿,無風状態において, 装置は2時間で安定し, 又, 測定値の再現性を検討するために, 薬品類,食品類などの試料を用いて臭気量の測定をした結果, 再現性が認められ, 本装置は, 測定に有効であることが確認された. 2 パラジクロルベンゼン系防虫剤の吸収性の検討 (1)ろ紙:厚さ0.29cmのろ紙に吸収される臭気量は, 面積又は, 重量が大であるほど大きく,両者に相関が認められた. (2)衣服素材:衣服地15種類試料の臭気量を測定した. 100cm^2当たりの臭気量は,アセテート,ポリプロピレンが1100で最も大きく,次いで〉ポリエステル〉綿,毛,麻,ビニロン,ナイロン,ポリ塩化ビニル〉絹,レーヨン,ポリノジック,キュプラ,アクリル,アクリル系となった. 室内5日放置後, ほとんどの試料で臭気量は100以下となった. 同一面積では, 厚いほど臭気量は大きく,含気率が大であるほど臭気量は小さい傾向がみられた. 3 被服地に吸収された臭気成分の分析 ガスクロマトグラフにより予備テスト続行中である. 4.今後の研究 人間の嗅覚と装置の臭気量との対応について官能検査を実施し,また, 繊維の種類,厚さ,密度と臭気量との関係を明確にし, 他の臭気物質についても検討する予定である.
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