研究課題
一般研究(B)
本研究では、スポ-ツ運動における基本的動作とされる打・投・捕の習熟過程について研究をすすめてきた結果、総括的にまとめると次のことが明らかになった。1.打運動では用具を持って行う剣道の基本打ち、およびゴルフパッティングについて、その習熟過程を明らかにした。すなわち、打動作の未熟な段階では用具を持つ手や腕と腰を中心とする体幹部と下半身の動きが不純一で、打動作に円滑さを欠くが、習熟が進むにつれて、リズム的で調和のとれた動作に変化していく。これらの習熟度は、週1回(90分×4週)の練習効果が最も大きく、集中方式の練習効果は少なかった。このことは、初心者指導に対して示唆するものと言えよう。さらに注視点については、はじめ打点部位ばかりに集中していた注視点が次第に広範囲に広がりをみせ、最終的には打点部位への移動がない傾向を示し、間接視野で対象物を捉えていることが判った。2.投運動ではソフトボ-ルのウインドミル投法によるピッチングと、ハンドボ-ルのジャンプシュ-トを取り上げた。ここでも、未熟練社の習熟過程では打運動と同様に、腕のスウィングと体幹部との不調和が目立ち、ウィンドミル投法では上達するに従って踏み出し足への体重運動がスム-スに出来るようになる。ハンドボ-ルのジャンプシュ-トでも習熟が進むにつれ、空中におけるシュ-ト動作での体幹部の角度変化が認られ、腕投げの傾向も改善される。3.捕運動では捕球時の構えに代表されるように、全身的動作である体幹部の動きは早い時期に身に付くが、捕球時の手の動きは習熟に時間がかかる。以上のように、アクティブな動きである打・投の運動とネガティブな運動の捕球動作とでは、その習熟過程に対照的な相違のあることが判った。