研究概要 |
1) 組織染色による一体鎖Asn結合糖鎖と反応するレクチンの検索 有機合成によりGalβ_1→4GlcNAcβ_1→2Manα_1→3(Manβ_1→6)Manβ_1→O→(CH_2)_8COーNH(CH_2)_3ーNHーBiotinをえた. これとAvidin peroxidase又はavidin alkaline phosphataseを組み合わせたABC法でラットovary cells並びにブタgranulのsa cellsを組織染色することにより, 目的とするレクチンの検索を進めた. この研究は現在細胞内在性のperoxidase及びalkaline phosphataseによる妨害が大きい為, これらの内在酵素を除く前処理の検索を進めている. 2)培養細胞を用いた少糖添加によるhCGの作用の阻害 マウスLeydig tumor cell line(MAー10)を材料に先ずhCGによりadenyl cyclase並びにプロゲステロンが上昇する系を確立し,これに対する少糖群の同時添加の影響を調べた. 結果は一本鎖5糖の添加で確かに細胞外に分泌されるプロゲステロンの減少が観察されたが,adenyl cyclase活性には差が認められなかった. この実験系は1mlと大量のmediumに加える為少糖の消費量が大きく,条件検討には不適当であると判断したので,より反応容量の小さい系の確立に取り組んだ. その結果,細胞の膜画分を暖衝液(50μl)に懸濁したものでもhCGの添加によりadenyl cyclase活性が上昇することを確認した. 現在この系を使ってdoseーresponse curve,Time courseの設定を終え,各少糖添加の影響を調べる実験に入っている. なお,購入したCO.ナ_<2.ニ>インキニベーターはMAー10の培養に全面的に使用している. 3) ヒト濾胞刺激ホルモン(hFSH)糖鎖の全構造の解明 ヒト下垂体からFSHを精製し,その全糖鎖構造を解明した. この研究により, ヒト糖タンパク貭性ホルモンはそれぞれ全く異なる糖鎖を持つこと, 従ってこれらのαーサブユニットは糖鎖を含めて考えた場合, 同じものとはいえないことが確立した.
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