研究概要 |
本研究の目的は神経への成長および神経走行, つまり神経の形態形成に関する細胞・分子レベルでのメカニズムを明らかにすることである. 実験材料としては, 全神経系の発生・分化および神経細胞の位置・連結が既知である線虫C.エレガンスを用いる. 本年度の研究では, チューブリンに焦点を絞り, この蛋白質の発現と神経の形態形成の関係を明らかにするため, まず10種類のチューブリンαとβ分子種を等電点電気泳動法を用いて分離した. つぎに, これをニトロセルロース膜に転写し, 抗チューブリン抗体(McAbs)を用い, 抗原抗体反応を行ない, イムノブロッド法によって, 神経系に特異的に反応する分子種を分離した. また, チューブリン分子種の局在分布を免疫組織化学的に解析した. つぎに, 抗チューブリンモノクローナル抗体を用いて神経系変異株11種をスクリーンした. これらの変異株においては, 胚の時期と成虫の時期における神経系の走行に異常が見られた. 次年度においては, その解剖学的特徴を光学顕微鏡レベルで, また更に, 電子顕微鏡レベルで明らかにしたい. また, 抗体を用いてジュノミックDNAまたは, cDNAライブラリーから遺伝子のクローニングを行なう予定である.
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