微小管は主にαとβチュ-ブリン、そしていくつかの結合タンパクにより構成される円筒型構造をとっている。人を含む高等動物では、微小管は細胞運動・細胞分化・細胞形態の保持・軸索輸送や成長のような重要な細胞機能を司っている。微小管の主成分であるチュ-ブリンはアイソタイプをもっており、私たちは遺伝・細胞・分子生物学での解析が可能であるC.エレガンスを使ってそのチュ-ブリンアイソタイプの研究を行ってきた。 チュ-ブリンの異なったアイソタイプを認識するいくつかの抗チュ-ブリンモノクロ-ナル抗体が見付けられており、それらを細胞または分子特異性の決定に用いた。他の複雑な高等生物のように、C.エレガンスにおいてもIEFG解析結果から少なくとも12個のアイソタイプが存在していることが分かった。これらのアイソタイプの内のいくつかは個々の抗チュ-ブリンモノクロ-ナル抗体によって確認された。C.エレガンスにおいて、抗チュ-ブリンモノクロ-ナル抗体6-11B-1は物理刺激受容ニュ-ロンを認識し、2-28-33はGABA抑制ニュ-ロンを特異的に認識した。異常な動きをする"Uncoordinated(協同性を欠いた)"変異体を免疫化学的にスクリ-ニングし、軸索成長・誘導に関わる遺伝子を同定することができた。最後に、私たちはC.エレガンスにおいて多くのチュ-ブリンアイソタイプをクロ-ンするため、C.エレガンスcDNA libraryをαおよびβチュ-ブリンに特異的なモノクロ-ナル抗体を用いてスクリ-ニングした。こうして得たα-チュ-ブリンの核酸配列はトランス-スプライシングのコ-ドを含んでいることが新しく解った。これらの研究は高等動物において機能的に異なる微小管が形成される機構を理解するのに役立つであろう。
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