細胞は己に発信された情報を受容し、それを正確に細胞の内側に伝えなければならない。最近の研究によれば受容体で受けた信号の変換分子としてG蚕白質が多くの細胞で見出だされた。本研究では無脊椎動物(タコ)視細胞を用いて、G蚕白質のキャラクタリゼーションとその機能について研究した。さらに光受容体ロドプシンの構造をもとに、G蚕白質との相互作用、ロドプシンのリン酸とその機能について調べた。 無脊椎動物視細胞のG蚕白質は1980年我々のグループにより発見された。その後おおくの試みにもかかわらずG蚕白質の単離が困難なためその分子量、性質が不明であった。本研究ではすでに内分泌細胞、脊椎動物視細胞のG蚕白質キャラクタリゼーションに用いられてきた百日咳毒素、コレラ毒素によるADPリボシル化の方法をタコ視細胞に適用した。単離した視細胞では百日咳毒素により特異的にADPリボシル化される41KDa蚕白質、コレラどにより特異的ADPリボシル化される46KDaはアデニレートシクラーゼ系のGIに、46KDa蚕白はGsと同じ性質である。このうち光によりADPリボシル化が影響されるのは41KDa蚕白質のみであり、タコ視細胞の光情報伝達に関与するのはこのG蚕白質(Gip)と同定された。インタクトな網膜ではこれらの代わりに34KDaの蚕白質が光依存的にADPリボシル化されるがヌクレオチドの効果が無く、その機能は不明である。 タコロドプシンは光受容にともなってリン酸化されるが、脊椎動物の場合と異なりcGMP、cAMP依存性であることが明らかにされた。
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