研究課題/領域番号 |
62480469
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
藤本 十四秋 熊本大学, 医学部, 教授 (00040139)
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研究分担者 |
梶原 裕二 国立水俣病研究センター, 研究員
受島 敦美 熊本大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (30040174)
中村 雅生 熊本大学, 医学部, 助手 (10180390)
吉永 一也 熊本大学, 医学部, 助手 (50136719)
桑名 貴 熊本大学, 医学部, 講師 (30145297)
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キーワード | 始原生殖細胞 / 移住 / ニワトリ胚 / レクチン組織化学 / キメラ / 異所性生殖細胞 / 生殖巣 |
研究概要 |
有羊膜類において、成体にみられる生殖細胞(精子や卵子)の祖細胞は始原生殖細胞(primordial germ cell=PGC)と呼ばれ、これは胚発生の初期に生殖巣(精巣や卵巣)からは遠く離れた胚部域に発し、生殖巣原基(ger-minal ridge;GR)に移動してきて、ここで機能的な生殖細胞(gern cell)に分化する。鳥類について云えば、PGCは発生早期(primitive streak stage)に将来の胚体の前方にある 「生殖半月(germinal crescent)」 域の内胚葉中に初めて見出される。そこを離れたPGCは、その後、胚の血液循環が確立すると共に血球と共に血行移動を行う。やがてPGCは生殖巣原基近傍の血管に集中し、そこの毛細血管から離脱して、最終的には生殖巣原基に定住し、分化する。昭和63年度は、PGCがどのような機構によって、迷うことなくその標的としての生殖巣原基に到着することができるのかを解明するために、以下の研究を遂行した。 (1)PGC表面特性の探究:PGC特異的表面糖蛋白(ニワトリ)を知るため、各種レクチンの結合性を組織切片上で検索した結果、細胞表面にD-Gal、D-Man、D-glcNAC、D-GalNAC含有糖鎖の存在が判明した。(2)注入キメラ作成法によるPGC移住機構の解析:異種間での生殖細胞キメラを、細胞注入法によってマスウ・ラット、及びニワトリ・ウズラ間でキメラを作成した。これらについて、PGCの移動や分化動態を分析している。(3)PGCの逸所性移住とその帰趨(ニワトリ):予め胚体後方1/3域を切除したニワトリ胚を発生させ、PGCが異所性に頭部に集中していくことを突き止めた。これにつきPGCの移動能を解折している。今後は、逸所性PGCのその後の帰趨、及びPGC表面の特異性を探究する。また、キメラ動物を用い、移住に関わる因子を物質レベルで追求する。
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