研究概要 |
昭和62年度は, 学生1140名(男子699名, 女子441名)について, 身長, 体重, 皮脂厚(上腕, 背, 腹部), 血圧, Hb, GOT, GPT, 中性脂肪, 総コレステロール, HDLーコレステロール, アポ蛋白(アポAー1, B, E)を測定した. その結果, (1)皮脂厚と中性脂肪, 総コレステロール値, アポB値は正の相関を示した. (2)皮脂厚とHDLーコレステロール値は負の相関を示した. (3)これら相関係数は, ブローカー変法により算出した肥満度の相関係数より高い. とくに腹部皮脂厚測定と, 血清脂質値の相関性が高いことを確認した. 一方, 昭和62年度, 40歳以上の職員588名(男子394名, 女子194名)についても, 定期健診時に採血, 上記の諸検査項目を実施した. その結果, 総コレステロール値220mg/dlをこえる異常者は, 83名(男子55名, 女子28名)14.1%, 中性脂肪180mg/dlをこえる者は, 76名(男子70名, 女子6名)12.9%, HDLーコレステロール40mg/dlに達しない者は, 71名(男子63名, 女子8名)12.1%であった. 男女の比較では, 中性脂肪, HDLーコレステロールの2項目で, 男子が女子に比し高い異常率を示した. また, 1項目でも脂質異常を示した者は, 総計182名(男子141名, 女子41名)31.0%に達した. これら, 学生, 職員の脂質異常者に対する食事, 生活指導, 薬物療法は, 現在実施中の段階であるが, 昭和61年度の職員検診で血清脂質の異常値を示した者に対し, 食事脂導を実施した結果では, 中性脂肪のみならず総コレステロールもかなりの症例(約半数以上)で正常化した. 食事療法のみによる反応が悪い症例に薬物療法(プロブコール+パントシン)を加えることにより総コレステロールの正常化がみられた.
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