研究分担者 |
池ノ内 浩 東京大学, 医学部, 医員
青柳 昭彦 東京大学, 医学部, 医員
望月 孝俊 東京大学, 医学部, 医員
百村 伸一 東京大学, 医学部, 助手 (10190985)
芹澤 剛 東京大学, 医学部, 助手 (90143429)
|
研究概要 |
本年度は低圧系調節因子として最近注目されている心房利尿ホルモン(ANP)について臨床的,実験的検討を行った. 1.心疾患におけるANPの動向 各種心疾患患者の血中ANPレベルを測定した. その結果上室性頻拍,うっ血性心不全において明かに血中ANPの上昇が見られた. これに対して単なる虚血性心疾患,高血圧では上昇は軽度であった. 2.心筋症ハムステーのANP 心不全の実験動物モデルとして心筋症ハムスターBLO14.6について血中ANPレベルと摘出心の機能との関係を検討した. その結果ハムスターの心機能が低下するに従いANP血中濃度が上昇することが明かとなった. 3.下半身陽圧負荷法によるANPの反応 心疾患患者の下半身を陽圧負荷装置に入れ, 装置内圧を大気圧に対して+10,+20mmHgと上昇させ右心系圧を増加させた. 陽圧負荷よりANPは上昇したが,その反応と右房圧,肺毛細管楔入圧との相関は後者の方が大であった. 4.心不全患者におけるANPの作用 心不全患者のカテーテル検査施行時にANPを点滴静注し,各種パラメータの変化を測定した. その結果動脈の拡張,左室流入圧の低下,Naおよび水利尿が認められた. 5.心不全患者におけるANPの静脈系への作用 前腕に装着したプレチスモグラフにより計測した静脈コンプライアンスに対してANPの作用は認められなかった. 次年度は心室流入における左房圧と心室拡張期特性の役割および相互作用について検討する予定である.
|