本年度の主たる研究目標は最近にわかに脚光をあびて来た“手書き文字認識入力装置"を障害児者の教育やリハビリテ-ションに適用してみて、その効果を調べるところに置いた。手書き文字認識入力装置として米国CIC社のハンドライタ-を用いPC-98系パソコンに接続した。 研究の対象としては、これまでと同様に旭川養護学校(肢体不自由)の児童・生徒を被験者とした。更に、研究の後半から旭川市内の病院に入院中の脳卒中老人にも被験者に加えた。 研究の具体的な目的は次の三点に絞った。 (一)ハンドライタ-の利用により、とかく手を使わなくなった障害児者に書くことに興味を持たせ、文字が“正しく"、“速く"、“美しく"、“小さく"書けるように強化指導する。 (二)字を書くという運動を通して、指、手、腕の運動のリハビリテ-ションを行い、脳の活性化を促す。 (三)ハンドライタ-を利用することにより、手書きでは実用にほど遠い文字も活字に置き換えて、文章作成等の職業に結びつける。 実地研究の結果、(一)については段階的ソフトを作ることにより、約2ヶ月のトレ-ニングで養護学校の児童に急激な進歩を促した。(二)については、これまで肩・腕の運動によって書いていた文字を手首、指の運動によって書くようになり、リハビリテ-ションの効果が十分に上ることが知られた。(三)の課題についても、十分期待できることが知られ、現在このことに利用出来るソフトを、ソフトウェア会社で開発中である。
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