本研究の目的は心身障害児(者)の療育や教育、あるいは日常的ケア-の中でパソコンを効果的に用いる方法を実践を通して研究するものである。3ケ年の継続研究は次のように進められた。年度毎にしめす。 (一)昭和62年度 旭川養護学校(肢体不自由)の児童・生徒を対象児とし、マン、マシ-ン インタフェ-スとしてキ-ボ-ドについて種の検討を加えた。その結果(1)肢体不自由児(者)に対するキ-のオ-ト・リピ-ト機能の問題点、(2)特定キ-に特定の意味を持たせた時の問題点、(3)VDT画面とキ-との対応の問題点が明らかになった。続いて上記のキ-操作の問題点を配慮した数概念形成のCAIプログラム、パタ-ン認識テストのプログラムを開発し、実施した。パタ-ン認識テストはWISC-R知能検査に発表させた。 (二)昭和63年度 研究の目標をコンピュ-タ-による知能診断システムの開発に絞った。キ-による入力方法を採用した場合、問題点が多いので入力装置として、タッチパネルを工夫して用い、WISC-R検査の中から、積木模様、絵画配列、符号化の3種のテストをコンピュ-タ-・シュミレ-ションで行うソフトを開発し、同上児童・生徒に実施し、これまで知能診断が不可能であった重度障害者の知能も判断できることが判った。 (三)平成元年度 脳や体幹障害により手が不自由になった場合、文字の指導は難題の一つになる。上記障害のある者に手書文字認識入力装置(ハンドライタ-)を用いて文字を"正しく"、"速く"、"美しく"、"小さく"書くための強化指導システムを作り、同上児童に実施した。指導の段階的なソフトを作り指導した結果、約2カ月のトレ-ニングで手書き文字の大きな進歩を見ることが出来た。更に、本システムを脳卒中老人患者にも適用リハビリテ-ションの効果を上げた。
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