研究課題/領域番号 |
62490002
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
加賀美 英雄 高知大学, 理学部, 教授 (50013561)
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研究分担者 |
徳山 英一 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10107451)
小玉 一人 高知大学, 理学部, 助教授 (00153560)
満塩 博美 高知大学, 理学部, 教授 (20036536)
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キーワード | 地震断層の境界 / 安芸海底谷断層 / 波曲構造 / 室戸隆起帯 / 興津隆起帯 / 南海マイクロプレート / 四国山脈の隆起 / 斜め沈み込み運動 |
研究概要 |
本年度は四国沖の地震断層について調査し、そのうち特に海溝に沿って発生する巨大地震の地震断層の東西方向の境界について検討した。室戸岬西方にあって、南北に走る安芸海底谷断層は土佐沈降帯と室戸隆起帯を分ける構造線であることが明かとなった。これより西側では更新世中期以降の竜王層群が厚く堆積しているが、東側では基盤岩類が北東ー南西の高角逆断層によって変位している。室戸隆起帯の東側にも断層があって野根海底谷と呼ばれている。従来、南海道地震の震源域は野根海底谷付近に引かれていたので、室戸隆起帯が地震断層の境界とは誰もが考えなかった。しかし、野根海底谷断層から安芸海底谷断層までの35kmの間は一連の構造単位であり、繰り返し発生した歴史地震の境界が室戸隆起帯を形成したのだと考えると、西南日本にみられる波曲構造は理解できるのである。南海道地震は、たまたまこの境界の東端までに発生したものであると考える。 興津隆起帯も土佐湾を分割する地震断層の境界であるとして今回明らかにした成果の一つである。この境界の西には中村沈降帯が、東には土佐沈降帯があって竜王層群が存在しているが、その竜王層群の堆積盆の沈降軸の位置は下位にくる土佐湾層群のそれに比べて約10°も反時計回りに移動していたのである。このことは興津隆起帯の隆起軸についても時間変化に伴う移動が同様に観察されたことから、更新世中期以降にフイリピン海プレートの沈み込み方向が、北から北西へ転移したために南海トラフにたいして斜め沈み込み運動をしたことに伴う諸々の変動;南海マイクロプレートの形成、四国山脈の隆起、モラッセ性堆積物の広範な分布、そして土佐湾では竜王層群の新しい堆積盆の形成の一つとして発現したものと考えている。
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