研究概要 |
合金の表面偏析は古くから知られており 15世紀頃にはこれを用いて金属表面酸化を防ぐ工夫はすでに広くなされていた. しかし これを科学として研究の対象とする試みは比較的新しく オージェ電子分析法などが開発されて以後のこの20年間余りにすぎない. 表面研究手法としては近年これ以外にも沢山開発されてきているが 表面の極く第一〜第二層のみで組成が大きく変化する表面偏析を詳しく正確に調べえる手法はさほど夛くなく, 現在のところ, イオン散乱性(LEIS)とアトムプローブ(TOFAP)に限られるといって差しつかえない. 本研究ではこの二種の手法を用いて, NiーCu合金系の表面分析を行った. NiーCu合金についてはこれまでのToFAPの研究でNiが〜15%以下の二元合金ではsolute Niが表面偏析する事を報告したが, 最近Rehn達がLEISを用いた研究で10%Niー90%Cu合金でもCuが表面偏析し, 通常のGibbsiaus表面偏析の理論が成立しているとの相互する結果を報告した為, 彼等の結果の再実験を行う事を計画し, 同種の手法でさらに分解能の高いATT Bell研究所のDr.TM.BnCKのグループのLEISのmachine timeを部合し, 院生D2の神谷格を4ヶ月留学させ実験を行った. その結果, 6%Niー94%Cu合金で, Rehuの結果とは一致せずNiの偏析が観測され, 我々の以前のToFAPの結果に近いものが得られた. LEISはToFAP同様に表面に極めて敏感な手法であるが, データの解析がさほど簡単でなく, パラメーターの更正が一義的でないほどの問題点も明らかになり, 更に詳細な研究が必要と思われる. ToFAPによる研究をしては, NiーCu合金系における表面偏析の温度保存性, 面積存性についてのデータを得た. 更にNiーAu系についても基礎的なデータを得るべくいくつかの〓標実験とLEED,STMを利用して行った. これを二年度に於て継続の予定である.
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