研究課題/領域番号 |
62490003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
櫻井 利夫 東京大学, 物性研究所, 助教授 (20143539)
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研究分担者 |
橋詰 富博 東京大学, 物性研究所, 助手 (70198662)
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キーワード | 電界イオン顕微鏡 / アトム・プローブ / 二元合金 / 表面偏折 / ガス吸着触媒 / プラチナ・ロジウム / 銅・ニッケル |
研究概要 |
合金の表面偏折は、様々な表面分析法(オージェ電子分光法、低速イオン散乱、二次イオン質量分析法、光電子分光法、アトム・プローブ等)により研究されているが、この現象が表面1、2層に限られる為に、未だに、実験的に十分高精度の結果が得られていない。それらの手法の中で最適である。アトム・プローブは表面から深さ方向に原子層ごとの組成分析がパラメタの仮定なしに測定できる唯一の方法であり、当研究室では、NiCu、FeTi合金における表面偏折を100%の検出効率を持つアトム・プローブを用いて定量的に調べてきた。 本研究において、先ず、NiCu合金の表面偏折における酸素雰囲気の影響を調べ、(1)1×10^<-4>Torrの酵素中で、NiCu合金(Cu濃度が15、30、50、85、95at%)を、870K、970K、1070Kの温度で1分以内熱処理した場合、(111)面、(100)面において、表面にはNiO相が形成され、Niの表面偏折が誘起されている。(2)銅の濃度が高い場合に、NiO相と金属との界面はシャープであるのに対し、Niの濃度が高い場合においては界面が数原子層に及ぶ、(3)NiOとNiの界面の付近で、結晶構造に欠陥が生ずる等の結果が得られた。 次に、自動車のマフラーに用いられ、その触媒としての性質が実用的に非常に良いことで有名な、PtRh合金の表面偏折の研究を始め、Pt-32at%Rhを超高真空中でアニールしたときに、表面付近の合金濃度に振動的な傾向があることを発見した。また、実際の触媒反応に近い系として、NOまたはO_2PtRh合金表面の反応に目を向け、酸素原子が表面に存在するとき、酸素とRhが選択的に結びつき、その結果3×1表面再構成構造が出現するのでないかという低速電子線回析の結果を電界イオン顕微鏡観察及びアトム・プローブ組成分析により証明しようとする研究が行われている。
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