研究分担者 |
佐久間 一郎 東京電機大学, 理工学部, 助手 (50178597)
増沢 徹 東京大学, 工学部, 助手 (40199691)
高井 信治 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (20013188)
大久保 昭行 東京大学, 医学部, 教授 (20010423)
妹尾 学 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40013099)
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研究概要 |
本年度は, 診断用高性能多波長検出高速液体クロマトグラフィーシステムの基本システムの基本コンポーネントの設計・試作, 基本ソフトウェアの開発及びその機能評価を行った. ただし, 試作機の設計段階での検討の結果, 分光スペクトルの走査方法としては, 当初検討していた回転多面鏡による方法を取りやめ, 回転軸の回りに渦巻状の光通過部を有した円盤型回転出射スリットによるスペクトル走査方法を採用した. 本方法は, 光学系が単純になり, 走査系の制御が簡単であるばかりでなく, 分光された光が移動しないので, 迷光対策, 高次回折光対策が行い易いという利点を有する. 本方法による試作機及びそれを制御駆動し, 出射スリットの回転に同期して光電子増倍管からの出力をA/D変換し, スペクトルデータを収集するための計算機システム並びに基本ソフトウェアを設計開発した. 試作システムの機能評価を試みたところ, 波長走査分割数で決まる波長分解能の範囲で良好な波長再現性(±0.8nm以下)を有することが明らかとなった. これにより, 本システムは高速液体クロマトグラフィーの多波長検出器として応用する場合, 充分な波長再現性を有していることが確認できた. また, 本システムは, 駆動部分が軽量な回転出射スリットのみであり, 振動等に起因する誤差が最小限に抑えられることが明らかとなった. 試作機の問題点を考察した結果, 光軸のずれがノイズレベル, ドリフト特性に大きな影響を与えること, 光電子増倍管へ光を入射する際, スボット径を絞り過ぎると受光位置による感度のバラツキの影響が大きくなることなどが明らかとなった. 現在, ノイズレベル及び長期変動幅は共に吸光度換算で10^<-3>程度であるが, この点に関しては, 光学系の調整, 受光部の結像系の改良によって充分改善できるものである.
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