研究課題/領域番号 |
62490012
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
西中川 駿 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70041639)
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研究分担者 |
松元 光春 鹿児島大学, 農学部, 助手 (30157383)
上村 俊雄 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (40136833)
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キーワード | 古代遺跡 / 出土骨 / 在来牛 / 在来馬 / 形態計測学 / 起源と系統 / 埴輪馬 / 土馬 |
研究概要 |
わが国の牛、馬の系統や渡来の時期などを明らかにするために、昨年度に続いて全国の遺跡から牛、馬に関する遺物の出土状況を調査し、さらに出土骨を同定するための基礎資料として、在来馬の骨を形態計測学的に精査して、以下の結果を得た。 1.牛、馬の骨の出土した遺跡は、牛が177、馬379計556ヵ所にみられ、また、地域別では、東京、神奈川、福岡などに多く、時代別では、古墳時代と鎌倉時代に多かった。 2.在来馬であるトカラ馬、御崎馬、木曾馬およびサラブレッドの58例の頭蓋、四肢骨を計測し、その実測値、主成分分析の結果、トカラ馬が最も小さかった。また、骨の幅や径から骨長の推定式を作成し、林田の方法で体高の推定を試み、実測した体高と近似した値が得られた。 3.画像解析システムを用いて、中手骨、中足骨の表面積や断面積を測定した。最大長や近位、遠位の幅は、画像上のずれがあり、実測値との間に差がみられたが、断面積は非常に有効であり、実測値で雌雄差のない馬で、緻密骨の占める割合が雄で有意に大きいことがわかった。 4.遺跡出土骨は、奈良、平安、鎌倉時代の牛、馬を調査したが、馬は中型馬に属するものが多く、少数例であるが藤原京からは小型馬のものもみられ、また、牛も在来牛とほぼ同じ大きさであった。骨の形状は、牛、馬共に在来種のものとよく似ていた。 5.馬の埴輪は、馬具の出土と共に、関東地方に多く出土し、6世紀に多かった。祭祀に用いたと考えられる土馬は、奈良、平安時代に最も多く、その分布は全国にわたり、特に平城京、平安京に多かった。 6.以上の調査結果から、わが国の牛、馬の渡来の時期は、弥生後半から古墳時代と考えられるが、今後さらに全国各地の出土骨を再調査して明らかにしていきたい。
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