研究概要 |
初年(62年)度研究では、高分解能イオン分光法によりNe^2・-N_2衝突における1電子捕獲過程移行反応を調べるのと平行させて、高電離多価イオンの電荷移行反応の研究に必要な多価イオン源開発を行った。63年度には、開発した多価イオン源に改良を加え、イオン源の特性を調べた。そして、これまでほとんど測定のない低エネルギー(1〜2000eV)領域でC^4・-He衝突を手始めに2・3の多価イオンの衝突系で電荷移行反応断面積測定に成功した。本研究の主な研究成果の概要を以下に示す。 (1)高分解能イオン分光法によるNe^2・-N_2衝突における1電子捕獲過程移行反応の研究:Ne^+生成イオンの運動エネルギーの分析から、Ne^<2+>・-N_2衝突における1電子捕獲過程移行反応は極めて状態選択的であること、軌道電子が捕獲されてできるN_2^+(X,A;v)イオンが生成されその振動分布はフランク・コンドン的でないこと、内核2σ。結合電子の電子捕獲過程など数々の新しい知見が得られた。 (2)小型EBIS多価イオン源の開発:液体窒素でソレノイドを冷却する新しい方式でEBISイオン源やその励磁電源を大幅に小型化し、C^<6+>、N^<7+>やO^<8+>の裸イオンやNe^9・Ar^<16+>の高電離多価イオンの引き出しに成功した。 (3)低エネルギー多価イオン衝突における電荷移行反応断面積の測定:C^<4+>-HeやNe^<4+>-Heなどの衝突における1電子および2電子捕獲過程の今まで測定のない低エネルギー(1〜2000eV)領域の反応断面積の絶対値が測定された。低エネルギーC^<4+>-He衝突では、2電子捕獲過程が主要反応でその断面積は測定エネルギー領域内に極大を示す、1電子・2電子捕獲の低エネルギー断面積には多価イオン衝突故期待されたオービティング現象は現れていないなどの新しい知見が得られた。
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