研究課題/領域番号 |
62490019
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
|
研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
石垣 昭 奈良工業高等専門学校, 化学工学科, 教授 (30043467)
|
研究分担者 |
河越 幹男 奈良工業高等専門学校, 化学工学科, 助教授 (90043489)
上田 勝彦 奈良工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (30043459)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1988
|
キーワード | 超音波診断法 / 画像処理 / 木製文化財 / PEG含浸処理 / 出土木材の保存 / 出土木材内の物質移動 / 保存科学 |
研究概要 |
本研究は工業化学と情報工学の基礎技術、並びに化学工学の基礎理論を応用して、遺跡出土木材の保存処理に必要な各種の情報を非破壊的に得ることを目的として行った。本研究は大別して以下の二つのテーマに焦点を当てて実施した。 1.遺跡出土木材の超音波法による診断技術の基礎的研究 この研究では保存処理を実施する際、事前に必要な出土木材内部の情報を超音波を用いて非破壊的に得ることを目的とした。まず、貴重な出土木材資料を超音波法で診断する際の安全な取扱法の検討、並びに、出土木材内部の診断に適した画像処理方式を研究した。この成果を基に各種の出土木材を対象に超音波法で診断することを試みた。この結果、出土木材内部の不均一な腐食による木材化学組成(ヘミセルロース/リブニン比)の違いが超音波エコーに及ぼす影響、内部のひび割れの発生状況、出土木材断面の非破壊的観察、特に、外部から直接観察することが不可能な内部の空洞や裏面の構造が比較的明瞭に観察可能であることを明らかにした。また、軟質の粘土層に埋没した出土木材の診断についても予備的研究を行い興味ある知見を得た。 2.出土木材へのPEG含浸に関する理論的考察 この研究では代表的な出土木材の保存処理法であるPEG含浸過程について化学工学的に拡散モデルによって理論的に解析できることを明らかにした。物質移動の観点から理論的に解明することを目的として行った。この結果、PEG含浸過程が出土木材内のPEGの分子拡散現象として出土木材の大きさ、形状、貫通した空孔等が含浸過程に及ぼす影響を定量的に比較検討することが可能になった。また、不規則な形状の出土木材のPEG含浸過程をコンピュータによりシミュレーションする方法を試み、その見通しを得ることができた。
|