研究概要 |
今年度は, NMRによる脳代謝機能の無侵襲計測の基盤となる方法論の確立を目指し, 以下の3項目を研究目標とした. 1.高感度^<13>CNMR surfaceコイル・プローブの作製:^<13>C surfaceコイル・プローブは市販されていなかった為, 日本電子(株)に試作を依頼した. しかし, 試作プローブは検出感度, プロトン・デカップルのための′H核照射用コイル等に致命的な問題を有し, 本研究の目的に適さないことが明らかになった. この為, プローブの設計原理にたちかえり, 生物試料がコイル・プローブに与える誘電損失や磁気損失を考慮しつつプローブの抜本的改良を行った. その結果, コイル・プローブ設計に直列同調の平衡回路を導入して感度を飛躍的に向上させ, 更に生物試料に対しても極めて安定したプローブを作製することに成功した. 2.実験動物における^<13>C安定同位体標識化合物投与法の確立:この為には, 生体系の外部応答が線形であると仮定し, 基質をパルス投与した後のwashout kineticsをラプラス解析することで, 本研究に必要な任意の投与法が得られることを明らかにした. 又, この投与法作成の為の非線形最小自乗法による最適化プログラムを含むwashout kinetics解析プログラムを作成した. 3.多波元生理学的データの同時計測法の確立:EEG, EKG, 動脈圧, 血液ガス分析値(pH, pCO_2, pO_2), 体温等のパラメーターが同時モニターできるシステムを作成した. 63年度は, 前年度に作製した^<13>CNMR surfaceコイル・プローブを用いてラット脳の特定部位(大脳皮質)でのグルコース・アミノ酸代謝を正確に測定するための方法を確立する. このため, surfaceコイルの形状や種々のパルス系列を最適化するための解析プログラムを作成し, シグナル局在化法を確立する. 必要に応じてコイル・プローブの改良・変更を行う.
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